一王山レンジ 花鳥草木図鑑
2011年10月 8日(土) 07:43 JST
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レンジの西側をかざる葛の花です。
「萩の花 尾花葛花 なでしこが花 をみなへし また藤袴 朝顔が花」 山上憶良(万葉集 巻八)
マメ目マメ科クズ属のクズの花です。50mシューティングラインから左手の方向を見上げると、甘い香りを発した紫色の花が見えます。画像は9月下旬に撮影しました。10月の今は小振りの枝豆のような種子つけています。つるは強靭で民具を作るときの材料とされますが、弓の弦に使われていたかは不明です。かつて農村では田畑周辺の薮に育つクズのつるを作業に用いていたので、クズは定期的に切り取られ、それほど繁茂しませんでした。しかし、刈り取りを行わない場合ちょっとした低木林ならばその上を覆い尽くしてしまい、木から新しい枝が上に伸びるとそれに巻き付いていきます。レンジの西側を覆う目隠しには最適です。
室町時代、とある山中で、猪が葛根をしきりに掘り出そうとしているのを見た人が「食べ物ではないか」と思いついたのが、食糧として認知された始まりであるという伝説があります。一王山でも猪が根を掘り返しています。根からは葛澱粉(クズコ:葛粉)が採れます。カッコン(葛根)と呼ばれ、葛根湯など漢方として使われます